文山包種茶(3)
文山包種茶は時代とともに変化してきました
近年では知ってる人が少なくなってしまった「冷凍茶」は一世を風靡したお茶です。もともとは半製品だったお茶ですが、のちには冷凍茶のための製法も工夫されました。
摘採-日光萎凋-室内萎凋-揺菁-室内萎凋-殺菁-揉捻-乾燥の作業工程で作られる文山包種茶ですが、現代のコンベア式熱風乾燥機がなく、手動乾燥機で乾燥作業を行っていた時代にさかのぼります。殺菁、揉捻作業は作業工程の中では待ったなしの一連の作業です。しかし生産量が増えても乾燥作業は上部に茶葉を投入して一段一段茶葉を落としながら乾燥させる手作業、つき切りで行っても生産スピードには限度があります。
そこで揉捻後の茶葉を変質させないように冷凍庫で保存して、手が空いた時に乾燥させることが多くなってきました。この冷凍した茶葉をそのまま飲もうとしたのが「冷凍茶」です。フレッシュな青さが良いと一時期ブームにもなりましたが、最近見かけることは少なくなりました。

茶壹福
品種の変遷
文山包種茶には多くの品種が使われてきました。栽培当初からの主力品種「青心烏龍種」に加えて、新品種「翠玉種」の登場で多品種化が始まりました。冬場に0℃付近まで冷える文山地区、寒さに強い「翠玉種」が注目され「玉蘭香」が引き出されると一気に栽培面積が増えました。冷凍茶に向いているというのももう一つの理由です。
地球温暖化とともに新品種「金萱種」が台頭、その強みは単位面積当たりの収量が青心烏龍種の3倍ほどあるということ。蒸し暑さ、病害虫に強いのも栽培を加速させた理由の一つです。「奶香」という独特な香りに注目が集まったことも生産量が増えた理由の一つです。それとともに翠玉種は衰退し、近年では栽培している農家はごくわずかになってしまいました。
大葉烏龍種も衰退品種の一つです、青心烏龍種に近い香りを持ち病害虫に強い品種ですが、青心烏龍種人気に押されて栽培面積は年々減少しています。今では坪林地区と花蓮瑞穂がこの茶葉の生産地域としてわずかに残っているのみです。
近年開発された金萱種の後継種「碧玉種」、青心烏龍種の後継種「迎香種」はなかなか定着するところまで栽培が進んでいないようです。しばらくは金萱種の一強時代が続くのではないかと思われます。

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茶農家の苦悩
日本と同じく台湾でも農業後継者問題と高齢化は深刻です。
茶農家は摘採から乾燥作業終了まで一連作業で体力の消耗は激しく、繁忙期は休憩すら取れない過酷な労働です。大家族で労働力が確保できている場合、作業を分担して24時間製茶作業できます。一方小家族では負担が大きく離農、廃農が増えているのが現状です。茶葉成長は作業する人の都合には合わせてもらえません、摘採好機を外してしまうと半年の苦労も無駄になってしまいます。
文山包種茶つくりは全自動化とは程遠く、人手が欠かせないのです。室内萎凋室を作るのに設備投資、乾燥作業を効率化するのにコンベア式乾燥機投資。殺菁するのは台湾釜なので同時に2台、3台が限界。殺菁機の隣に揉捻機を配置して効率よくやっても大変な重労働です。家業を継ぎたくないという若者が多いのも頷けます。
近年では文山地区だけでなく「宜蘭」などでも包種茶を生産しています。
中には文山地区農家経由で比賽出品されているのも確認できました、これから文山包種茶の向かう道はどうなるのでしょうか。
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冷凍茶とは